価値の本質と価格の本質を考えるブログ【2025年3月】

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価値の本質

物やサービスは、無料の物もあるし、有料の物もある。

晴れた日の気持ちのいい散歩は無料だし、喉が渇いてお茶を飲みたくなっても、自動販売機のお茶は有料だ。

公園の水道水は無料だけど、これは税金で賄われている。

素晴らしい夕日は無料だし、高尾山の登山料も無料だ。登山途中のお土産屋さんの焼き芋やお饅頭、お茶は有料だ。

気分よく高尾山を登山する

毎日食べる米、野菜、肉、魚は全部有料だが、それほど高くはない。パテックフィリップのホワイトゴールドのノーチラスは1144万円で、美味しいご飯が10000食くらい食べる事ができるが、ノーチラスは食べる事はできない。

ビットコインは単なる電子的記録で食べる事も、時間もわからないが、1600万円もする。

物やサービスには、それぞれ価値があるが、ノーチラスは1114万円の価値があるのか?よくわからないが、本質的には無いよう思うし、ビットコインに至っては全くないと思う。

価値とは何か?価値の本質を考えていこうと思う。

ビットコイン

2025年にビットコイン価格が1600万円を超えた。ビットコインとはそもそも何なのか?説明できる人は1000人に1人、いや10万人に1人すらいないだろう。

私にもわからない。わかっているのは改ざん不可能という特徴のあるブロックチェーンを使用した、発行上限のある電子的な記録という事だ。

その電子的記録になぜ、1600万円という価格が付くのか?それを説明できる人は世界に何人いるだろうか?

ビットコインとはそもそも何なのか?

JPモルガン・チェースのCEO ジェイミー・ダイモンは「ビットコイン自体には本質的な価値はない」としている。ウォーレン・バフェットも同様に「ビットコイン自体には本質的な価値はない」としている。

私の仕事はシステムエンジニアで、証券、債券、省の予算管理など様々なシステムに携わってきた。私が主導したシステムも多い。

私の知り得る知識でビットコインを評価するなら、改ざん不可能である点は素晴らしい理論であり、技術であり、システムだが、業務システムで使用可能な技術か?と言うと、速度が遅すぎて使い物にならない。

高速化という意味ではコンピューターの処理速度が上がれば解決される問題だが、同時に処理速度が上がれば、現在の使われているブロックチェーンの暗号技術がいずれ破られてしまう可能性がある。

処理速度が上がればより複雑な暗号化が可能になるが、複雑な暗号化で処理速度は遅くなる。

つまりコンピューターの高速化はブロックチェーンの処理速度の向上に繋がらない。

それどころか、突然現在の数百倍、数千倍の処理速度を持つコンピューターが現れれば、多くの暗号化技術は破られてしまう可能性があり、全世界でパニックが起こる。量子コンピューターがその代表例だ。

量子コンピューターの実用化にはまだ数十年時間がかかり、それまでにより高度な暗号化技術が開発されるので心配する事はないのだが。

ブロックチェーンは使い物にならないし、データを安全に管理するという意味でデータベース(現在の主流はリレーショナルデータベース RDB)は、今後も利用され続ける。

ではビットコインはなぜ1600万円になるのか?それは人の欲しいと言う欲求の成せる技だと思う。

価格

ビットコインは電子的な記録で、米や肉のように食べられるわけでも、石油や石炭のようなエネルギーになるわけでもない。単なる電子的記録だ。

それではパテックフィリップの時計はどうだろう。単なる時計だし、時間を知るという意味では今やセイコーやカシオの時計でも1000円台で購入できる。安い中国製の時計なら数百円で買えるだろう。

パテックフィリップのホワイトゴールドを使用したノーチラスは11,440,000円で、オーディマピゲのステンレススチールのロイヤルオークは4,125,000円だ。

材料費、製造費、研究開発費、広告宣伝費、販売管理費などを加味しても、ノーチラスの原価は18金ホワイトゴールドが200グラムとして200万円、製造費、研究開発費、広告宣伝費、販売管理費などを加味しても300万円程度だろう。

ロイヤルオークにいたってはステンレススチールなので材料費は考えるまでももなく、その他費用で100万円程度と考えてよいだろう。差額は利益という事になる。

自動車の場合、各社の製造効率にもよるが日本車は10%~20%が利益だ。プリウスの最も安いモデルなら275万円で購入できる。

これらの価格をみると、価格とは何か?そもそも価値と価格とは何なのか?という疑問が湧いてくる。

そう、価格と価値はある意味歪みがあるように見えるのだ。

マーケティングという魔法

話をビットコインに戻すと、時計のように時間がわかるわけでもない、自動車のように物や人を高速で運んだりできるわけでもない、単なる電子的記録だ。

その電子的記録を1600万円も支払って購入する人がおり、ビットコインの時価総額は322兆円になる。そして今後も上がり続ける可能性がある。もちろん下がる可能性もある。

もし、ビットコインを取引所で売買することができなかったら、ビットコインを購入する人はいるだろうか?

そもそもビットコインを維持する為の莫大なコンピューターの計算能力と電力を誰が供給するだろうか?

それはビットコインを作ったサトシ・ナカモト以外にはいないだろう。なぜなら、誰もそこに価値を見出すことができないからだ。

ビットコインの価格とは何か?それは「人が欲しいと思う欲求を、通貨に置き換えたもの」、つまり「人が欲しいと思う欲求の価格」だ。

パテックフィリップのノーチラス、オーディマピゲのロイヤルオーク、トヨタのプリウス、山崎製パンの食パン、サントリーの天然水、すべて「人が欲しいと思う欲求の価格」と言える。

パテックフィリップのノーチラスなんて興味がない人にとっては、なんでそんな高額の時計を欲しがるのか?理解できないだろう。

私は時計が大好きなので、もちろん欲しいが時計に1000万円は支払えない。冷静になってみればバカバカしい価格だ。

だけど欲しい。なぜか理由はよくわからないが欲しい。おそらくマーケティングという魔法にかけられて、小さな頃は知るはずもないノーチラスを大人になった私は欲しがっている。

もし、様々な情報がなければ、ノーチラスを見せられて11,440,000円ですと言われても意味がわからない・・・となるだろう。

様々な情報を見たり聞いたりした結果、欲しいという欲求が芽生えたのだ。

その中心にあるのはマーケティングで、そのマーケティングという魔法にかけられてしまった人達からの情報や、パテックフィリップが仕掛けた様々なマーケティングにより、私の心に欲しいという欲求が芽生えたのだ。

ロイヤルオークの魔法

ビットコインはどうだろう?サトシ・ナカモトという謎の人物が開発したシステムで、彼はマーケティングなど全くおこなっていない。

ビットコインはサトシ・ナカモトが2008年にインターネット上に論文を発表し開発したシステムで、2009年1月3日に稼動を開始、最初の1枚が発行された。正確に言えばブロックチェーンに最初のブロックが生成された。

2009年10月にNew Liberty Standardというサイトに、1BTCの価格は1ドル=1309.03BTC(1BTC=約0.07円)と提示された。

2010年5月にフロリダでピザ2枚が1万BTC(約0.2円)で購入された。

その後はマウントゴックスをはじめ、様々な取引所で取引されるようになり、ビットコインで決済できるECサイトも現れた。

サトシ・ナカモトが誰なのか?現在も不明であり、彼のウォレットには巨額のビットコインが保有されたままだ。

サトシ・ナカモトはマーケティングを全くおこなっていない。にもかかわらずビットコインを世界中の人が欲しがる人で溢れている。

この現象をどのように説明すればよいのだろうか?

ビットコインの歴史
年月出来事1BTCの価格補足
2008年10月サトシ・ナカモトによるBTCについての論文が公表されるなし
2009年1月最初のブロックである「Genesis Block」が生成されるなし
2009年10月New Liberty Standardというサイトに、1BTCの価格は1ドル=1309.03BTC(1BTC=約0.07円)と提示される約0.07円
2010年5月フロリダでピザ2枚が1万BTCで購入される約0.2円
2010年7月仮想通貨取引所マウントゴックスのサービス開始する約7円
2011年3月マウントゴックスがTibanne社に買収される約70円
2011年4月TIME誌でBTCの特集が組まれる約80円
2011年5月~6月BTC最初のとなるバブル期が到来する約1,500円
2011年6月19日マウントゴックスがハッキング被害を受ける約1,400円
2012年11月15日WordPressがBTC決済を採用する約900円
2012年11月28日最初の半減期を迎える約1,000円
2013年3月キプロス危機が起こる約4,500円
2013年10月百度(バイドゥ)がBTC決済を採用する約1万5,000円

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